おじいちゃんレンタルシステムで北港へ
娘と母島へ2人旅。
台風の接近があり、母島もどこのビーチも港も濁ってしまっていたのだ。
島の人達から情報を集めて、北港と言う昔に使われていた港跡ならまだ濁ってないかもしれないということで向かうことに。
ただこの北港、はは丸が入港した沖港から車で30分以上かかる場所にあり、またその道は険しい山道なのである。電車もバスもタクシーもない、レンタルバイクでは5歳児途中で寝そうだし、困ったなあと思っていると、
「有償運送ならあるよ。」
と観光協会で言われ、早速それを頼むことにした。
なにやら電話をかけている。
「(有償運送てなんだ、、、?なんかやたら料金票見ると高くないか?)」
と不安になっていると、
「手配できましたよ!」
と観光協会の方に言われ指定された時間、場所で待っていると
「こんにちわ。」
とおとなしそうなおじいさんが車で来てくれたのである。
小笠原ではバス、タクシーに変わるものとして有償運送があるのだ。
どうやら船着場の観光協会で取りまとめをしているようで、依頼があると自家用車をだせる人を何人か登録しているようである。
料金もkmごとに取り決めがあるようで、ガソリン代が高い事情を考えると納得の価格である。ちなみに北港までは、大人1人往復4400円であった。
さて、この有償運送であるが、要は
ひとんちの車で連れてってもらうシステムである。
もちろん、運転手(おじいちゃん)付きである。
独身時代はよく海外へ行ったのだが、フランスのものすごい田舎、もうスイスとの国境近くでタクシーがなくて、そこらへんの家の家族に車出してもらって、ルコルビジュの作品Longchampという教会に行ったことを思い出した。そこに行くときもこんな感じだったことを思い出した。
遠い日本から来た若者に対するフランス人流おもてなしだったんだろうな。当時20代しかも、日本人は若く見えるから若者というより子供に見えたんだろうと思うのである。あの時は免許取ったばかりという英語がカタコトな若い男の子が車出してくれたっけな、懐かしい思い出である。
さて、今回は口数の少ないおじいちゃんである。何者かもよくわからない。私が思う以上に向こうも思っているだろうと思い、怪しまれないようこちらからたくさん話しかけた。
すると口数の少ないおじいちゃんは、次第に色々話をしてくれるようになった。
山道を運転しながら、
「ここはこの国道で一番標高が高いところだよ。」
「ここに登山口があるんだよ、昨日も登ってきたけどね。(え!?おじいさん、あなたが!?)」
「ここは、昔小学校があって、この石はその時の門の跡なんだよ。」
などと案内をしてくれるようになった。
そうこうしているうちに北港に到着。
確かに濁っていないし、波も高くない。泳げるかもしれない!
↓北港
「じゃあ、14時にまた迎えに来るから。」
おじいちゃん、帰ろうとするので
「ちょっ、ちょっと待ってください!携帯番号とか聞いていいですか!?何かあると心配ですので!」
「ああ、いいけど、ここは電波入らないよ。あそこに電話があるから、何かあったらあそこから電話するんだよ。」
「はい。。。。。」
なぜこんなに慌てたかというと、台風の接近と到着が朝早かったこともあり、北港の休憩所には誰もいなかったのである。
海の中にも海岸にも誰もおらず、5歳の子供を連れた私だけがポツンと置いて行かれたのだ。町まで結構な距離があったこと、途中自販機や商店などは1つも見かけなかったことはわかっていたので急に不安になったのである。
でも子供に伝わるとまずいので、かなり強がって明るく
「さっ!お魚見ようか!」
と言い、持参したウェットスーツに着替えた。
とその時、海を指差して子供が
「あそこで泳いでる人がいるよ!」
と叫んだ。どこ!?どこ!?と言いながら一生懸命、海面に目を凝らすが目の悪い私にはよく見えない。バシャバシャとこちらに向かってくるとようやく私にも確認できた。
確かに、休憩所の机の上には荷物と服が置いてあり、先客がいるのかな?とは思っていたが、かなり沖まで出ていたようで、海面に確認できなかったのだ。
そして休憩所に上がってきた。おっさんだ、どうやら一人のようである。
「ずいぶん沖まで行かれてたのですね。何か見られました?」
と聞くと、
「エイが休んでいたよ、ホラ写真も撮れたよ!」
とエイの写真を見せてくれた。
写真を見せてもらうと娘は大喜び、早く泳ぎに行こうよと急かす。
私はウェットスーツがピチピチで最後の肉入れ作業に汗だくになってしまった。
夏だし南国だけど、これを着ておくと体の冷えがだいぶ違うのだ。歳のせいか最近ではすぐ寒くなるのである。長時間遊びたい時はシュノーケルでもスーツ着用している。怪我の予防や魚の攻撃対策にもなっていいと思うのである。
他の人がいたとわかりホッとしたので、いざシュノーケリングをしに海へ。
昆布?みたいな海藻がまばらに生えていたが、透明度は高く、海底までよく見えた。そんなに深くはなく、深いところで7mくらいだろうか。ぽつりぽつりとサンゴが生えていてテーブル状になっている。
サンゴのまわりに南国特有の色の魚がいたり、海へびがいたり、とシュノーケルを十分に楽しむことができた。エイは残念ながら見られなかった。
しばらくすると、子供達が海に入ってきた。
「あっ!!船で会った子だ!」
娘が気がついた。
話を聞くと、近くの東港でシュノーケリングをしようとしたが、濁って全く見えなかったとのこと。走ってここまで来たという。
子供どうしすっかり打ち解けており、一緒に固まって海面に浮かびながらシュノーケリングを楽しんだ。
お母さんが面白かったな。ユウゼンという魚を見つけたよと知らせると、泳いできて
「わあ〜っ綺麗〜!コレっ買うと20万くらいするのよね!!」
と教えてくれた。
そうなんだ、、、でも20万すると言われると、気品のある魚に見えてきた、心なしか泳ぎ方もお上品、、、な気がしてきたのだ。おかしなものである。
この家族は泳ぎながら釣れる簡易釣りセット(ペットボトルに釣り糸を結んで、餌を中に入れてキャップをしてポイントまで泳ぐ)を持っていてこれは真似したいと思ったのである。
実際、魚も釣れていた。
柄がすごい。ちょっと食べる気にはならないお魚ですが、美味しいのだろうか。
そうこうしているうちに14時になってしまい、おじいちゃんが迎えに。
ここで子供達のお母さんから
「明日登山をするのですが、一緒どうですか?」
とお誘いを受け、台風の接近で船の出航状況もわからないので、お宿を聞いて夜連絡をすることに。
はは丸が出なくなってしまうと、母島から父島へ帰ることができなくなってしまう。
すると父島と東京を結ぶおが丸も予定の便に乗れるかわからなくなってしまう。悩むところである。